トータス『It's All Around You』

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04年にリリースされたトータスの5作目。ポスト・ロックとか音響派などと呼ばれる系統の音楽ですが、直接はステレオラブの諸作をメンバーのジョン・マッケンタイアがプロデュースしていたのが聴くきっかけでした。手元には3作目の『TNT』だけがありましたが、本作はレンタル屋で借りて聴いていた作品でもあります。今回その買い直し。

で、印象は以前と変わらず構築された叙情という感じです。基本インストバンドですが、ジャケットと相俟って不思議な存在感が際立つ音です。まるですべてがエンディングのような音楽。結構寡作な人達ですが、このアルバムの前後作はライブ感のある作風だったようですので、この作品の叙情性が少し異質ではあるようです。

ポスト・ロック系は先のステレオラブやハイラマズあたりしか聴いていなくて左程詳しくありませんが、このトータスの孤高な感じは何となく共感できるものがあります。何を語るわけでもなく、かといって存在感が際立つ音の作り。レディオヘッドやCAN、ROVOなんかにも通じる手触りで次世代感漂う未来の音楽、という感じはしますね。印象的なのはギターのフレーズですが、一瞬必殺仕事人のバックに流れるようなイメージもあって日本人的にはちょっと笑っちゃうところもあるかもしれません。とかく伝説化されがちな音楽でもあるので、もう少し身近にしてもいいんじゃないかな。

これから録画してあるザッパのライブを観る予定ですが、トータスにもザッパの匂いは漂ってますね。最近会社の人に紹介されてエスペランサを聴いていたりもしますが、それもきっかけは青山陽一高野寛の「ザッパに似ている」というつぶやきだったりします。少し違ってジョニ・ミッチェル風でしたが。でも技巧派の音楽はやっぱりカッコいいですね。