The Beatles In Mono『Magical Mystery Tour』

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これは好きな作品!でもってモノラルで聴いても違和感無し!非常に自然に耳に入ってきます。音数が増えていることも原因のひとつでしょうが、少し薄っぺらい印象のあったステレオ盤に比べて一体感があって完成形を見ている気がします。

『Flying』がモノラルになって音が左右に振れずに一体になった時にどう聴こえるか興味があったんですが、想像通り力強いものでした。納まるところに納まってドラムの音もベースの音もしっかり聴こえて定位がいい。元々このアルバム自体好きな作品でしたが、きちんとした曲構成になってより好きになりそうです。音圧も丁度いいかな。『Blue Jay Way』も余計な装飾がなくシンプルでいいですね。

『I Am The Walrus』の途中でも音の効果が減ってるんですね。これ、結構びっくり。混沌が減るんだ。ポールの曲のようなまともな楽曲がより整理されてさらに楽曲として普通に聴こえてくるのに対し、ジョンやジョージのカオティックな楽曲は音響効果が減る分シンプルになっていく。ここは評価が分かれるところですが、よりダイレクトになった感触ですね。骨太といいますか。自然といった方が正しいかな。切り貼りした感じが減るんですね。『Strawberry Fields Forever』のフェイドアウトからフェイドインしてくる瞬間もゾクッとします。音の効果がナチュラルでかっこいい。

アンディ・パートリッジも大好きな『Baby You're A Rich Man』はリンゴのドラムの音が後ろに引っ込んで聴こえづらいのが難点かな。これは大分印象が違います。ステレオの音の多さに慣れてしまっているので、少し音が隠れてしまったようでちょっと残念ですね。

全体的にはとても自然に聴こえて初めてモノラルの良さを実感しました。その分減った要素も多少あってこれまで聴こえていた音が聴こえない、といった点をどう評価するか。結論からするとどっちもありなんだな、という至極普通の見解になってしまう訳です。楽曲をちゃんと聴きたいならモノラル、トリッキーな効果でより多彩な楽しみ方を望むならステレオ、といったところでしょうか。