The Beatles In Mono『Mono Masters』Disc 1

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遂に最後のタイトルになりました。長かったなあ。楽しませてもらいましたし、発見も多かったので中古盤の価格なりの満足は得ることが出来ました。

このタイトルはシングルのAB面集でかつモノラル、という一見マニアックな作品ですが、シングル曲なので勢いのあるものが多く、音的にも音の小ささはあまり感じません。ダイナミックに迫ってくる、とまではいかないまでもしっかりした音が鳴っている気がします。『抱きしめたい』のドイツ語バージョンなんてのもありますが、その辺はさすがに脇道として、大概の曲はストレートに響きます。

思うにビートルズの場合、同時代に聴いていた世代の耳にはモノラルの音が記憶に残っている訳で、その人達の体に染み付いているものにはステレオ盤はそぐわない、というただそれだけのような感覚もあります。それはそれで正しいと思うんですが、少なくとも『ロング・トール・サリー』なんかの勢いのある演奏を聴くと、モノラルでも非常に迫力があって、やはりシングル曲はアルバム収録曲に比べて気合いの入り方が違っていたんじゃないかと思わせるものがあります。ここへ来て初めて「まとも」というより「勢い」という感覚を持ちました。このディスクのモノラル音はカッコいいですよ。ライブを観ているようです。

昨日放送されていた山本耀司高橋幸宏の対談番組でビートルズの話題が出たんですが、そこで山本耀司ビートルズの第一印象を「デザインされた音」だと感じたそうです。それで印象はあまりよくなかったそうなんですが、それ以前のプレスリーなんかと比較してでの話だとすると確かに当初から洗練が音にあったんでしょうね。

『アイ・フィール・ファイン』もいい音だなあ。『シーズ・ア・ウーマン』も太い!『バッド・ボーイ』もいいじゃん!最後の最後にモノラルの魅力を感じてしまうなんて何ということでしょう。