ビーチ・ボーイズ『That's Why God Made The Radio』

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祝!ビーチ・ボーイズ再結成!デビュー50周年という恐ろしいキャリアをもってリリースされた新作はまさに珠玉の出来です。こんな美しいアルバムを現在進行形で出してくれるなんて・・。ありきたりですが捨て曲無しの本当にいいアルバムですね。

タイトル曲が先行販売されてそれこそラジオから耳にしましたが、強烈に美しくてびっくりしました。それだけに納まらず、本作の白眉はラスト3曲にあります。矢野顕子も涙ぐんだとつぶやいている『From There To Back Again』から『Summer's Gone』への流れは見事です。バラードを後半に配置するという構成がにくいですが、やはり最近の『ペット・サウンズ』『スマイル』の再現活動を踏まえた要素がそこかしこに見えて、本当に60年代終りから70年代初頭の傑作群を彷彿とさせる雰囲気が漂っています。それを今のクリアな音で新作として届けてしまうなんて。こりゃ幸せだわなあ。

ビーチ・ボーイズの場合、いつ聴いても哀しさが音楽に含まれていて、またどの季節に聴いても夏の終りをイメージさせる不思議な雰囲気を醸し出すグループだと思うんですが、このあたりが新作でもバッチリと表現されています。マイク・ラヴの曲を聴くとカールやデニスの曲も聴きたかったなあ、等と思ってしまいますが、やはり全編に渡ってブライアン節が炸裂している構成は見逃せません。かつ、ソロで表現される音楽よりもやはりビーチ・ボーイズというバンドを意識した雰囲気になっていて非常に味わい深い。それで往年の名作群の要素も散りばめてあるんだからサービス良過ぎ!で、この後半に美しい曲を並べる離れ業。ここまで来てよくやった。凄いなあ。

かつてロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズの再結成盤でも感じましたが、恐ろしい程現役時代と変わっていない、時を越えるアーティスト魂。そのあたりの感覚をこの新作にも覚えました。太鼓判の充実作。今この時に聴けてよかった。美し過ぎる新作です。