武川雅寛『dregs of dreams』

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怒濤の西伊豆一泊旅行から帰宅して朝からサッカーを観てちょっと疲れたなと思いつつ武川雅寛の新作を聴いています。これはいい!

ジョージ・ハリスンビートルズ解散後に、鈴木茂はっぴいえんど解散後に痛快なソロを発表したのと同じく、武川雅寛ムーンライダーズの最良の部分を切り取ってその勢いのまま充実作を手にしましたね。今回は歌もの中心という話だったので期待はしていましたが、想像以上にポップでいい曲の多いアルバムです。人柄のなせる技か、参加アーティストも多彩で、それぞれにいい演奏をしています。高橋幸宏もそうですが、やっぱりバンドの中でかすがいになっているような人は、いざという時に総力を結集していいアルバムを作るんですね。武川雅寛の場合は演奏できる楽器も多彩なので、とても幅の広い楽曲が提供できる。その上、年月を重ねて円熟度を増したボーカルが味わえるとあっては、これは聴かない訳にはいかない。

『Ciao!』でも武川雅寛の曲はよかったんですが、その好調をキープしつつオーガニックで躍動感のある演奏をバックに奏でられる音楽はライダーズ不在の穴を埋めるかのようなクオリティです。『月夜のドライブ』のセルフカバーもあって、中間のボーカルは誰かと思ったら斉藤哲夫でした。いい再会を果たしています。

『Ciao!』の時に鈴木慶一が「クジラの曲はアレンジの余地が残してあるのでやりやすい」といった発言をしていましたが、ムーンライダーズの中でどちらかというとサイドマンに徹している感のある人がいざ主役となると自分の色を出すというより第7のメンバーとしてのムーンライダーズ人格を表出化させて来るという好循環。これがライダーズ不在の今こそ輝きます。元々ライダーズの楽曲でのバイオリンやトランペットの存在感は格別でしたので、そのテイストが滲み出て来てしまうのは必然なんですね。これは武川バージョンのムーンライダーズ新作といっても過言ではない。

ラストはライダーズ全員参加のはやくも同窓会的雰囲気の楽曲。意図的にレンジを落としてホームデモ風になっていますが、まるで「再集結にはまだ早い」と語っているかのような雰囲気です。