フランク・ザッパ『クラシック・アルバムズ Apostrophe , Over-nite Sensation』

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ずっと狙っていたザッパの『クラシック・アルバム』シリーズのDVD。中古のまとめ買いでお安く購入できました。

アポストロフィ』と『オーヴァーナイト・センセーション』は73年から74年にかけてリリースされましたが、当時の演奏は脂が乗り切った絶好調の時期で、基本的に70年代中盤のアルバムはどれも好きですね。その中でもこの2枚は比較的ボーカルの入った曲が多くて、確か『アポストロフィ』なんかはザッパの中でも一番売れたタイトルだったと記憶しています。内容は決して妥協したものではありませんので、「よく受け入れられたなあ」と驚く要素が一杯ですが。

映像の方はかつてのバンドのメンバーの証言を中心に構成されていて、イアン・アンダーウッドからスティーヴ・ヴァイジョージ・デュークなんかが出てきますが、一番魅了されるのはやはりルース・アンダーウッドですね。ルースの場合は実際にマリンバを演奏しながら解説してくれて、当時の状況を語る嬉しそうな姿は夢のようです。

時折ザッパ本人の証言も挟まりますが、それにしてもカッコいい人です。低い声で長い髪で答える姿はオーラが出ていて色気も感じさせる。この確信を持った佇まいはどうやったら生まれてくるんでしょうか。

また息子のドゥイージル・ザッパが当時の楽曲をミキサーをいじりながら解説してくれるんですが、息子でありながら最早研究者のような振る舞いで非常に興味深い。実際、ZAPPA PLAYS ZAPPAとして親父の楽曲を再演して活動してもいますが、その偉業を人生を賭けて研究しているかのようで珍しいパターンだなと思います。

映像にはザッパの過去の音源が格納された倉庫も登場します。各アルバムのマスター・テープの他に様々なライブ音源や映像がぎっしり。ここから最近の諸作も発掘されているんだと思いますが、この強烈な整理意欲。脱帽ものです。

ライブ映像の中ではやはりロキシーでの演奏が一番スリリングでした。やはりあらゆる意味で神がかっていると思います。実際、この2枚のアルバムというより、70年代中期を中心にした活動に焦点を当てることでザッパの全体像に迫るような内容に仕上がっているような印象を受けました。凄い人だ、つくづく。