クラムボン『2010』

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今月リリースされる高野寛伊藤大助のアルバムを試聴していたら、続けて鳴り始めたのがこのアルバムでした。思えばiRadioで「ごまみそずい」を聴いていた頃、この作品が丁度リリースされて何度か耳にしていた。また、WOWOWでのライブ映像もそこそこ楽しんで観ていたこともあり、何となくは気になっていたバンドではあります、でもアルバムを買うのは初めて。以前レンタルで『まちわびまちさび』を聴いたくらいで何となく避けて通って来たのは原田郁子のボーカルが矢野顕子っぽかったからかもしれません。

とはいえ一時期からのクラムボンは音響に気を配るスケールの大きなバンドに変貌していて、興味をそそられる対象ではありました。ミトの配信に対する発言はとても興味深くて、高音質配信が即効性をもってスタジオで録音したクオリティそのままの音質でリスナーに直接届けられるメリットを持つ、みたいな話が合点がいくことだったことも含め、ずっと気になっていたところではありました。で、中古で発見した次第です。

本作はバラエティに富んだ作品として捉えられるアルバムですが、ピアノが遠くで鳴り続ける感じがテイストとして好みです。グッと鷲掴みにされる程の迫力があるかというとそうではなくもう少し透明感に寄ったイメージがあり、ややもすると通り過ぎていく可能性もある。といっても主張が激しい音に彩られているので引っかかりがあって楽しい。何か痕跡を何気なく残していくような感触があるのはこのバンドがギターレスだからでしょうか。そういった意味では最近復活したベン・フォールズ・ファイヴを彷彿とさせます。

既に活動歴も長いバンドなので、掘り起こし甲斐のある対象としてこれからも意識してみようかなと思いました。