YMO『BGM』

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YMOの最高傑作。自分の原点がここにあります。

発売当時はあまりの変貌に不覚にも聴きながら寝てしまいましたが、その後30年に渡って常に振り返る作品です。『Mass』にはまる人が多いですが、『音楽の計画』が一番印象に残っていて、鋭いリズムに目眩がします。

金字塔的な楽曲『Cue』も収録されているのでそれだけで必聴ですが、全体的な佇まいとしてヨーロッパ的な深く濃い色彩が描かれているので飽きがこない。次作の『テクノデリック』と共に絶頂期のYMOを写し取った貴重な時代の産物であると思います。ジャケットもいいですよね。

小山田圭吾に「YMOのおすすめは?」と問われた砂原良徳が真っ先に薦めたのはこのアルバムだったとのこと。活動再開後に再演された本作の楽曲は若干ソフィストケイトされた感がありましたが、オリジナルは音が強い。当時細野晴臣が「このアルバムには子供に危険な周波数の音が収録されている」といった趣旨の発言をしていて、何とも危険な雰囲気を感じたものです。

収録時間がAB面で見事に左右対称をなしていて、構築美の極地を見る思いがしました。スネークマンショーとの邂逅の時期でもありますので、ユーモアも含んだ内容となっていて細かい部分まで聴き逃せない。かつ坂本龍一のストレスは極限の状態にあり、それがエッジの立った音に昇華しているという効果も生んでいます。

見事なアルバムですので、ここがその後の音楽の聴き方に対する分岐点となった方も多いのではないかと推測します。