XTC『English Settlement』

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XTCの最高傑作だと思います。前作の『Black Sea』を推す方もいますが、断然こちらの方が成熟度で上回っていますね。

最初に聴いたのははるか昔の貸しレコード屋があった時代。その頃国内盤は1枚でしたので、5曲程カットされていました。その後輸入盤で正式版の2枚組を聴いた際の衝撃が今でも忘れられません。元々ポップな楽曲が多いアルバムですが、国内盤未収録の『It's Nearly Africa』や『Knuckle Down』の素晴らしさといったら・・。XTCの場合、シングルのカップリング曲がアルバムに収録されないパターンが多いんですが、当時の未収録曲の『Tissue Tiger』『Blame The Weather』といった楽曲にも目眩がしました。この時期はソングライティングも絶好調だったんですね。

本作の特徴は前作と比べてアコースティックな風合いが強くなって来たところで、次作の『Mummer』程まではいかない絶妙なバランスでのテイストが極上品です。当時のアンディ・パートリッジはビジュアルもカッコよくて、ベレー帽にサングラスといった佇まいは震えが来る程の御姿でした。『Senses Working Overtime』のPVなんかで確認できますが、これはもうオーラが出ている。曲は複雑なのにとっつきやすくて、何度聴いても発見のある懐の深さ。そこにグルーヴが加わっているんですからもう非の打ち所がありません。

本作以降、ライブ活動を凍結してしまったのは惜しい限りで、是非一度目の前でXTCの演奏を味わってみたかったものですが、それも今は叶わぬ夢となりました。しかしここにパッケージされた創造性は永遠に光り輝く陶酔であり、いつまでも変わらず鳴り響いています。傑作と断言できますね。