フランク・ザッパ『One Size Fits All』

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ザッパではやはりこれが最高だと思います。冒頭の『Inca Roads』の展開の複雑さ、しかもそれをすべて人力でモノにしている。ここでのジョージ・デューク(Kb)やチェスター・トンプソン(Dr)の演奏はただものではないし、その後に続く『Can't Afford No Shoes』の男臭いボーカル、『Andy』での超絶的な展開など挙げればきりがありません。70年代に入って脂の乗り切ったザッパのギタープレイとおよそ人間業とは思えないテクニックを備えたバンドメンバーの演奏力は間違いなく当時群を抜いていたと思います。

ザッパの場合はとにかくツアーを繰り返し行って、そこで得られた音源を編集して作品化することでビジネスをまわしていたため、スタジオ録音盤といってもハイブリッドな作品となっていることが多いんですが、このアルバムもまさにそう。但し、ここで聴こえてくる構築美はそんなことはおかまいなしに迫ってくる熱気を孕んでいます。

変な音楽かもしれない。でも何かを惹き付ける魅力を携えていて、かつクールに突き放すような演奏の連続。万人受けはしないかもしれませんが、確実に捉えたら離さない魔力をもったアルバムだと思います。結構コンパクトに仕上がっていることもポイントですね。