ビーチ・ボーイズ『Surf's Up』

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ビーチ・ボーイズの作品ではこれが一番好きです。90年代に『Pet Sounds』をはじめとした再評価の波があり、遂に『Smile』も発売され、齢70を越えて再度集結して新作も発表して来日もしてしまう、という恐ろしいエネルギーで再始動したビーチ・ボーイズですが、この作品でも顕著なようにとても暗くて哀しくて美しい世界観を粛々と提示し続けていたグループでもあって、このアルバムはその頂点にあるような気がするんですね。細野晴臣もこのアルバムが好きだそうです。

必殺の2曲があってひとつは『Disney Girls』。これはブルース・ジョンストンの曲ですが、たまに書く歌が非常によい。美し過ぎて卒倒しそうです。そして『'Tll I Die』。これはブライアン・ウィルソン生涯を通しての傑作ではないかと思っています。こんな美しいハーモニーは世の中に存在しないですよ。

表題曲は『Smile』時代に書かれた曲ですので当然クオリティが高いんですが、本作は全般に渡って各メンバーの曲の出来がよく(『Student Demonstration Time』だけ例外かな)、安心して聴けるアルバムだと思います。『Pet Sounds』と後1枚となったら迷わずこの作品を手にとりましょう。