スティーリー・ダン『Pretzel Logic』

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スティーリー・ダンと言えば『Aja』『Gaucho』ですが、そこでの完璧主義は一種の息苦しさを醸し出していてもはや別世界の音楽、通のための祝祭空間といった趣が強いのも事実。ジャズやフュージョンの色合いも強いので若干の飽きも生んでしまうリスクも孕んでいます。それに引き換え比較的初期の作品群はバンドとしての形態をまだ残していて、聴いていて躍動感が味わえます。ここ、大事なんですよ。

本作はスティーリー・ダンの3rdアルバムとなりますが、ある意味ひとつの完成を見た作品でして、有名な『リキの電話番号』にしても『ナイト・バイ・ナイト』にしてもバンドのグルーヴが残っている。かつワンクラス上の世界観を提示していて聴き込む毎に発見もあって、ポップスとしては極上の部分に手をかけています。行き過ぎないことも大事ですよね。自分と無関係のように思ってしまうのはポップスファンの宿命的行為でもあって、さもなくば大量の情報をさばいていけない訳なんですが、スティーリー・ダンは多側面のアーティストなので時期によって表現形態が微妙に異なる。ここが人気の原因でもあるように思います。

若干青臭い、でもそこがいいのがこれを聴くと分かる。その後1stを聴くともっと好きになると思います。