口ロロ『口ロロ』

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口口口の1st。初めて聴いたときの違和感は忘れられません。冒頭からビーチ・ボーイズかハイラマズか、といったような『ヘッド博士の世界塔』のような始まり方。その後に続くギターサウンドやドテクノな楽曲等、非常にバラエティに富んだ内容で核が見えない。でも恐ろしい程のメロディアスな名曲『James vs. Jane』『夜明けまで』が入っていたり、基本的には楽曲重視で多彩な側面を彩るのはクラブ志向、という感覚で分裂気味でありつつ異なる個性が混沌としている印象があります。

ジャケットも含めて夜明けが似合うアルバムでもあって、ふと思い出したようにターンテーブルの上に乗せるのはこの1stです。その後メンバーチェンジ等を経て現在ではいとうせいこうを迎えて実験的な音楽を追求しているグループでもあります。実質三浦康嗣のソロユニットのような趣もありますが初期は南波一海がメンバーにいたことでハウス/テクノ色が濃かったのではないかと。

曲によってあまりに振れ幅が大きいだけに掴みどころがない感じですが、一貫してポップなところがいいですね。この後commmonsに移籍して活動の方向性がヒップホップ寄りになっていく感もあるので、その印象でこの1stを聴くと面食らうかもしれませんが、自分はこの頃のクールな触感の方が好みです。合うんですよ、夜明けに。