スチャダラパー『5th WHEEL 2 the COACH 』

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スチャダラパーの登場は日本のラップの光明を見た思いがしましたが、その頂点がこちら。世代としての幼児性を臆面もなく表現する手法は電気グルーヴと共にスチャダラパーが顕在化させましたが、その辺りの「いいんだ、これで」という許容が端的にカッコいい音と共に表面化してきたのには少し驚かされました。

この時期にはまだコミカルな路線のライムが残存していて、シリアスになり過ぎないバランスが絶妙に成立しています。『南極物語』とか『サマージャム95』みたいな曲が平然と同居していてなかなかにスリリング。90年代を語る上で実は見逃せない現象だと思うんですが、リップスライムの登場以降は急速に旧世代化した感覚もあります。

イノベーターとしての立ち位置はお笑いでしかなかった。自虐性によって立つスタンスはデビュー当時のビートポップ全盛期におけるマイノリティという位置づけに起因するんでしょうが、メジャーになるにつれて段々と自信をつけてシリアスになっていった。海外からの輸入によって徐々にクオリティが上昇していく過程は日本のロックとの親和性、というより再帰性もあり既視感のある出来事だったはずですが、それに気付いていたのは極僅か。

ビートが太くてバックトラックもいかしています。今聴いても面白い。でもここまでかもしれないですね。