青木孝明『ONE DAY』

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04年発表の5作目。これですべてのタイトルを聴いたことになります。沢山の佳作を発表している人だったんだなあ。

この作品からレーベルも移籍して心機一転セルフ・プロデュース。自信が音に漲っていて非常に瑞々しい。貫禄も備えたいい作品です。最新作の落ち着きまでいかなくてもある種奥行きを感じる懐の深さを備えた、きちんとした楽曲が並ぶアルバムです。『Whistle Step』からしてポップでいかしてますね。何となくいい作品であることは前作の勢いから予感はありました。

何度も名前を挙げているように系統は青山陽一に近いものがあるんですが、もう少しメロディが綺麗でベーシックな感触を覚えます。ああ、いい曲だなあ、という局面が多い。この作品ではコーラスが何気にアクセントとなっていて、微妙ながら身を委ねるに足る楽曲の連続。既視感がないかといえば嘘になりますが、じゃあ何なのかと問われると例えに窮するという典型。浮遊感と共に比較的低めなボーカルと相俟って聴かせる作品が詰まっています。リズムにタメが出て来ているのも好感が持てますね。

強烈なインパクトがない分、染み入って来るようなアーティスト、という印象を全体的に持ちました。まとめて聴けてよかった。今後のコンスタントな活動も期待したいと思います。寡作ですからね。