キンクス『at the BBC』disc 1

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まずは初期音源。1stと2ndを持っていないので初聴きが多いんですが、既に64年と65年の時点ではっきりとその差異が分かります。半年くらいで急速に通常のビートグループから進化を遂げたんですね。64年の録音音源ではある意味爽やかなビートポップが楽しめて初々しいですが、65年の録音音源からは既に独特の憂いが伝わってくる。サイケデリックの風味も加わって通常のグループではない捻りが加わってきます。

とにかく大量の音源が収録されているので各ディスクで目眩がしそうなんですが、初期の早い時期からこんなに変化が楽しめるとは意外でした。演奏も上手。どれが初出でどれが既出かといったマニアックな分析は出来ませんが、少なくとも65年録音の『This Strange Effect』『See My Friends』といった楽曲からは余裕さえ感じます。

1年飛んで67年の音源からは大好きな『サムシング・エルス』の楽曲が始まります。もうここまで来ると別のグループですね。デイヴ・デイヴィスの役割はXTCでいうとコリン・ムールディングのような位置づけなんじゃないかと思います。大量に曲を書くレイ・デイヴィスの影に隠れていい味を出している。

そして『Sunny Afternoon』以降の録音は極上もの。短期間でここまで進化しているとは。この間3年くらいですよ。60年代後期の各グループの成熟スピードは半端ないですね。丁度技術的にもモノラルからステレオに移行する時期でもあって、音の広がりが出て来るのは必然としても、楽曲の方も異常な進化を遂げている。『Autumn Almanac』なんてシングルになった曲とは思えない異常な曲で、今聴いても身震いがします。