キンクス『at the BBC』disc 3

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続く3枚目はキンクスが最も暑苦しかったRCA時代のロック・オペラ期の音源です。『マスウェル・ヒルビリーズ』は大好きなアルバムですが、それ以降『プリザヴェイション』あたりになるとさすがに聴き込んでいませんね。

ところどころにいい曲もあってたまに聴くと結構いいんですが、なにせ全体が濃過ぎてどうしても耳が遠のいてしまう。この辺はキンクスファンの宿命ではないでしょうか。ブラスも入って音も厚くなっているんですが、粘っこ過ぎてどうにも食傷気味。とはいえこの時期のアレンジで一歩手前の『Victoria』あたりを聴くとそれはそれで発見があります。ちょっとコブシが回り過ぎのトッド・ラングレンみたいなものでやっぱりしつこいですが・・。

74年のIn Concertの音源が丸々入っているのでこの時期の演奏を堪能できる構成になっています。これはこれで貴重。この時期を過ぎてアリスタ移籍後は全米でブレイク、という経過を辿る訳ですが、そこまで行くと益々耳が遠のいてしまうという皮肉な運命を称えたグループですが、演奏力はどんどん上がっていって一回りしてスパイラル状にロック・バンド然としていく。でも本質はやはり60年代後期から70年代初期の繊細で捻くれた楽曲群の魅力にあるように思いますね。才気ほとばしるヒリヒリした感じが好きなんだなあ。