スコラ 坂本龍一 音楽の学校 映画音楽編第5回

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映画音楽編の最後は自らの音楽の解説でした。駆け足で紹介していたので若干物足りない点もありましたが、ある程度意図は読み取ることが出来ました。

戦メリではエキゾチックなものを目指したんですね。だとするならそれは細野晴臣トロピカル三部作から初期YMO でアプローチしたスタイルを引用している訳です。日本の作品が世界に出て行くことがまだ少なかった80年代初頭にはまだまだ通用したアプローチだったということですね。そういった意味で戦メリも時代とリンクしていた。

音楽の構造に触れていたのもよかった。譜面の知識がない自分には、こうして解説してもらえると非常に助かります。低音の音階が上がっていってるんですね。そこで高揚感を示して、主旋律の繰り返しはストレスとして置いている。その対比が映像を物語るようにしている。音楽的に映像に迫っている形で初作を作り上げた後は、ベルトリッチの映像でより勉強を重ねていったというストーリーでした。

ワークショップで自らの音をつけた際に語っていましたが、坂本龍一はあくまで映画音楽もひとつの楽曲として考えているんですね。BGMではなくて曲として成立するように全体を仕上げていく。当たり前のようですが、音楽家からの見方としてそれはやはり外せないことであって、だからこそ今でも演奏する楽曲が映画音楽から多いんじゃないかと感じました。

結果的に大島渚の追悼のような形になってしまったことは悲しいことですが、これもひとつの同期というものかもしれませんね。ご冥福をお祈りいたします。