デヴィッド・ボウイ『Station To Station』

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この作品は昨年末に単独で購入したものの買い直しとなります。昨年聴いた際も「地味だなあ」という印象でしたが、その辺りは結局変わりませんでした。

とはいえ、『STAY』みたいな曲のダンス/ディスコ系の取り入れ方や、前作でのソウル・ミュージックへの接近がきちんと自分の内部に入り込んで、いわゆる「ボウイ節」になっている様は見事だと思います。デヴィッド・ボウイという人の魅力は「曖昧さ」になるような気がして、自分のものにしてしまった要素はボウイのフィルターを通して何とも言えない味わいで吐き出される。その憂いやどこかプラスティックなポップさ加減が絶妙であり、またこの人が分かりにくい人でもある原因のような気がします。

常に仮面を被っているようなその振る舞いと、在り方をコロコロと変える成り立ちがごった煮になるのではなくあくまでスマートに表出されていく。そんな人なんですね。そのため、出てくる音楽はどこかオブラートに包まれているような気がする。この作品でもそれは顕著で、何という訳ではないんですが、モヤモヤする感覚が離れないような気がします。なかなか掴み切れない。不思議なアーティストですね。