トッド・ラングレン『STATE』

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御大の新作が出ました。全曲試聴があったので多少は予想していましたが、ブリブリのエレクトロ路線。ここ最近はハードロック系か打ち込みかのいずれかで活動してきたトッドですが、今回はその打ち込みの方。高橋幸宏のトリビュートにも参加して、そちらでは比較的バランスのいいカバーを披露していましたが、どちらかというと新作の方では打ち込みの音が全景化していて、これはもう・・何と言ったらいいか・・。

その高橋幸宏は新作でバンドサウンドを追求するようですが、今時はやはり生楽器へ回帰するのがスマートなような気がするんですよね。今の時代だからこそのカッコ良さがあると思うんですが、打ち込みでいくならもう少し徹底してしまってもいいはず。そこにキーボードの音が全面的に被さって来るので、それが印象を古臭くしている。

その上、トッド・ラングレンの美しい歌声というのは人間味が出てしまうので、こうした路線の音にははっきり言って向いてないんじゃないかと思うんです。周りの人も言ってあげればいいのに。今ここであなたが奏でる音楽はこれじゃないよ、と。過去のアルバムの全曲再演ライブもやっている訳だから、何かしら70年代初期の感覚を今の仕様に仕立て上げて新しい作品を作ることだってできるはずです。デヴィッド・ボウイだって封印されていたベルリンの音を再構築した訳ですから。トッドだってそうしたことをやっていい。

それをやらないのがしかしトッドである、と。まあ元気だからいいかな。