トッド・ラングレン『TODD RUNDGREN with the METROPOLE ORCHESTRA』

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新作はイギリスから出ているデラックス・エディションが2枚組になっていて、2012年に行われたオーケストラとの共演ライブがボーナスディスクでついています。今回は国内盤も出るようですが、このボーナスディスクがついているのは英国盤だけなので、何といってもデラックス・エディションがお勧め。本編がちょっときついので、このボーナスディスクがやはり目玉となりますね。

いいんですよ、これが。勿論過去の名曲群を演奏していることも大きいですが、オーケストラといいつつドラムもギターもあって、ある意味普通のライブ盤。少し楽器が豪華になっている、というくらいの位置づけです。『Another Life』から始まるという渋い選曲で、一瞬ユートピアかと思わされます。

トッド・ラングレンという人はソロ活動とバンド活動を並行して進めてきた人ですが、ソロで好きなことをやって、その揺り戻しのような音楽もたまに顔を出すようなところがあります。『Nearly Human』も『Something / Anything』のD面でもそうですが、独りで多重録音した反動で多人数による演奏を表現したくなる習性がある。今回のオーケストラとの共演もある意味それに近い趣です。そう考えると、思いっ切り打ち込みで好き勝手やった裏側でこうした真っ当な音楽を奏でる。その二面性がこの人の魅力でもある訳なんですね。それは今となっても変わらない。

非常に極端な人ですが、このライブ盤に今回は救われました。