カーネーション『Renaissance Minstrels』

f:id:tyunne:20181028105742j:plain

ラストは未発表音源集です。カーネーションは一時期コロンビア音源を大量の未発表曲と共に再発した経緯がありますが、初期でもこれだけの楽曲があったとは驚きです。音質は今ひとつのものもありますが、丁寧に掘り起こしていく姿勢には感銘を覚えます。

湾岸スタジオ音源の『海とカバンとダイナマイト』『オレンジ・ボーイ』なんかはそのままいける位のクオリティですし、政風会名義でのライブ『ガーデン』もとてもいい曲です。カーネーション1stライブでの『AREA CODE 001』も憂いがあっていいですね。この憂いが1stアルバムでは欠けていたと書きましたが、ちゃんとあるじゃん。

初期作品は湾岸スタジオで生ドラムの音が録音できないという制約から打ち込みのリズムがベースとなっていました。その音が宅録色を強くしていたんですが、ライブでは当然生ドラムな訳で、そこに端的にダイナミズムが出てくる。1stライブの音、特に先に挙げた『AREA CODE 001』なんかはトッド・ラングレン、というよりユートピアのライブの感覚がよぎるような綺麗な音を出しています。このスペース感といいますか、奥行きのある感じはいいですね。

XTCカバーの『がんばれナイジェル』は期待して聴きましたが、ちょっとガレージっぽい音で多少肩すかしをくらいました。もしかして和訳してるのかな、と思っていましたがストレートにカバーしている。ドラムもやはり打ち込みなので、少しマイナー感が目立ってしまうかな。

少し戻りますが政風会での『霧笛』もよかった。むしろ初期ではバラードの方に軍配が上がっているような気がします。これは新鮮味だけの問題かもしれませんが。

こうして初期カーネーションを振り返って思うのは、「古びない」ということです。勿論多少の時代性はありますが、やはり80年代特有の、当時最先端、今古め、といった音は少なく、今でも充分通用する音になっている気がします。楽曲のパワーというより、その後直枝政広が基本的なところで変わっていないのが主因ではないかと思います。最初から大枠では完成していた。そこから成熟していっている過程を我々はずっと見ることが出来ている。これはとても幸運なことだと思います。まだまだ頑張って欲しいアーティストですね。