布谷文夫『悲しき夏バテ』

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ここのところ大滝詠一山下達郎の新春放談ばかり聴いていて、かつ大滝のラジオ番組ゴーゴーナイアガラまで遡って聴いていたりするんですが、その中のナイアガラ・トライアングルがゲストの回で山下達郎伊藤銀次と一緒に布谷文夫が出ていて非常に楽しそうに話しているのを聴いてほくそ笑んでいました。布谷文夫は『ナイアガラ音頭』や『レッツ・オンド・アゲン』のボーカリストですので、このアルバムもいつか聴かねばと思っていたところに中古屋で発見。手にとった次第です。

とにかくダミ声のボーカルのインパクトが凄いですが、バックの演奏のタイトさにも目を見張るものがあります。元々はブルース・クリエイションの人、というイメージでしたのでナイアガラとの関わりを知ったのはその後になるんですが、実際にはこの作品は73年のリリースということになるので、丁度はっぴいえんどとナイアガラの端境期にあたる時期の録音となるんですね。大滝詠一の1stの後に録音されたようです。

『颱風』のカバー『颱風13号』なんてのもあって見事にはまっていますし、話題の『深南部牛追唄』もあって冒頭から飛ばしっぱなしですが、後半は弾き語りのそれこそブルース然とした楽曲なので対照をなしていて面白い。何度も言いますがインパクトがあります。

裏ジャケットの写真はナイアガラ前夜の福生の雰囲気を醸し出していて非常に味わいがありますが、音の方にここまでインパクトがあるとは思いませんでした。不思議とダミ声が嫌な感じに聴こえないのもポイント。このあたりは多羅尾判内の面目躍如といったところでしょうか。いいアルバムです。カッコいいよな。