妥協してないなあ。メインストリームでこんなに攻めていいのか?
Perfumeの新作はグローバル化した気負いを感じさせない攻めている音で、まるで石野卓球のような打ち込みがおよそメジャーフィールドの音楽とは思えないアレンジで畳み掛ける意欲作となっています。
例えば自分の場合、小学生の娘がこの作品を楽しみにしている訳ですが、これをそのまま聴かせて大丈夫なのか?と思ってしまう程アレンジがマニアックな部分があって、知らない内に文化が子供たちに刷り込まれて行く恐ろしさを感じてしまう。この感覚は一時期の奥田民生にもいえるし、『BGM』期のYMOにもいえることなんですが、人気が出てポジションを確立した後でスッと差し出された恐ろしい手紙のように自然と耳に入って来る音が強烈に深層に訴えかけてしまう。これはいい意味で危険ですね。
シングル曲の『Spring of Life』『Magic of Love』等がアレンジを変えて収録されていて、バックで奏でられるコードがかなり気持ちのいい展開の仕方をしていることにまずは驚かされました。このあたりの感触は『GAME』の頃の感覚に戻っているように思えて、実は安心しました。ボーカルが奥に埋め込まれていて、前面にあまり出てこないように聴こえるのもいいですね。しかしこれをメジャーでやっていいのか?いいんですきっと。
ドラえもんの主題歌が入って全体の雰囲気が崩れはしないかと心配しましたが杞憂でした。前作で見られつつあった幼児性の表出が幾分抑えられており、傾向としては好みのメロウさに少しだけ戻ったように感じます。
音圧はやはり低め。ビートのはねる楽曲もあって、まさに全体としてはクール・ジャパンを体現する作品として世界に差し出された贈り物となっています。中田ヤスタカ天晴ですな。