カーネーション『WACKY PACKAGES』

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最高!

カーネーションの94年リリースのライブ盤。このタイトルだけ持ってなかったんですが、今回たまたま中古屋でデラックス・エディションを発見しました。これはいつか買おうと思っていたんですが買って良かった!時期的には『EDO RIVER』リリース直前。前作が『天国と地獄』なのでまさに脂の乗り切った演奏が繰り広げられる鉄壁の布陣。比較的初期の楽曲がこの時期のメンバーで再解釈されてかなりの高次元に昇華されています。初っ端の『オートバイ』生演奏から失神もの。原曲はミーターズのサンプリングリズム主体なのが、ここではきっちり生のグルーヴを生み出しています。

カーネーションムーンライダーズの弟バンドとしてスタートして以降、何度かの転機を繰り返して今では2ピース体制で長らく生き残っているバンドですが、振る舞いが地味なので決してこれまでもこれからもメジャーフィールドに出て来ることはなかった。唯一『a Beautiful Day』の頃にJ-WAVEの波に乗って表に出かけたくらいで後はずっとマニアックなバンドで居続けています。

でもカーネーションには90年代を救ってもらった。当時の音楽バブルの頃には渋谷系以外は見るべきものはなく、表舞台に踊る音楽たちは軽薄で後に残らないものばかりでした。当時の小室系やビーイング系の軽くてやりきれない音楽は売上こそ史上最高だったものの内容は史上最低だったと思います。そんな中で唯一音楽として後世まで残るクオリティを単独で発信していたのがカーネーションだった。何度も言いますが自分は福島で悶々としていた時期ですので大分カーネーションには助けられました。

90年代後半は都心に帰って多忙極まりない毎日を送っていた訳ですが、そこでも音楽は相変わらずメジャーフィールドでは軽薄で、まさに世紀末を予感させる終焉感が漂っていた。でもカーネーションだけはマイペースでいい音楽を創り続けていたんですね。これは貴重な存在でしたよ。でもって今でも現役なのが凄い。本作を含むコロムビア期の再発群は当時の絶頂を記録した偉大な作品群だと思います。

追加された2枚目のライブは95年から97年までカバーされていますが、やはり1枚目の勢いが凄い。2枚目は勿論いいんですが、既に成熟を感じさせる内容となっています。名作『GIRL FRIEND ARMY』が96年ですから、それを取り巻く作品からチョイスされた名演が立て続けに収録されている。世紀末にカーネーションは一旦バンドとしての生命を終え、その後3ピースで華々しく復活を遂げるまでは不遇の時期を迎えます。そうなる前の青春真っただ中の音源を記録した貴重なライブ盤が本作であると、そういった訳ですね。