ジョン&ヨーコ/プラスティック・オノ・バンド『Sometime in New York City』disc 1

f:id:tyunne:20181028174616j:plain

72年リリースのジョン・レノンのこの作品は政治色が強そうでずっとミッシング・リンクでした。ソロになってからのジョン・レノンは昨今のポールの再評価から自然と忘れ去られて行った感があって、その濃過ぎる内容から襟を正して聴かねばならない感覚に覆われていたと思います。『イマジン』以外は一般受けしないとでもいいましょうか。掘り甲斐がない程掘り尽くされてしまった感じ。

そんな中、このアルバムの目玉は何といってもザッパとの共演な訳ですが、まずは1枚目のスタジオ録音盤から。オノ・ヨーコの奇声が飛び出すかと思ったらこちらはそうでもなく少し安心。(最後に出てきますが。)それにしても軽く作られた質感のライトな曲群。ジョン・レノンの場合は1st以外は意外とサラッと作られていて、ラフな魅力が出ている感じがします。メロディがいいので聴きやすさはありますが、引っかかりもない。その上音楽とは別の要素が立ち過ぎていて少し重い、楽曲として聴き込めない感じがあるんですね。

そもそもがラフな人だったんだろうからこれが本質なのかもしれませんが、構築する良さも味わった身からすると結構拍子抜けなのかなあとも思います。時代とリンクしていたから歴史的価値はあるんですが、純粋に音楽としてどうかと問われるとオノ・ヨーコの存在もあって少し割り引かれてしまう印象があります。振幅が激しいんですね。終わり方もラフだったからなあ。あくまで音楽的にですけれども。