マイルス・デイヴィス『Miles Davis At Fillmore』disc 2

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2枚目。この辺りのマイルスを聴いていると何故昨年自分がキング・クリムゾンを聴き始めたのか分かるような気がします。いわゆるインプロヴィゼーションはザッパを聴き始めて以降徐々にはまってきたのですが、様々なパーカッションも含めてこうした延々と続くリズムと音の応酬は自分にとって一種の快楽なんですね。

丁度今文庫で再出版されたピーター・バラカンの自叙伝的な本を読んでいるんですが、そこに『イン・ア・サイレント・ウェイ』の話が出てきます。今日も寒いので音飛びしないために慣らしでこの作品を聴いてからフィルモア2枚目に移ったんですが、自分にはやはり『イン・ア・サイレント・ウェイ』は静か過ぎる。むしろ『ピッチズ・ブリュー』はピーター・バラカンは怖くて最初は余り聴き返せなかったとのことなんですが、さもありなん。とはいえこのグルーヴはやはり不滅だし、本にも出てくるソフト・マシーンや一連のジャズ・ロック、その他フィッシュやROVOも含めて長尺演奏によるグルーヴのうねりはやはり見逃せないんじゃないでしょうか。

結構マイルスの場合はブレイクもあって、その度にリズムが変わったりする訳ですが、トランペットの音が主役のようで主役ではない。むしろパーカッションやベース、キーボードが神業的に響くことによって場がグルグル回る。この辺がエレクトリック・マイルスの醍醐味だと思います。ジャズの本道からすると亜流なのかもしれないし、聴いていて落ち着くものではないですが、この頃の攻めているマイルスはやはり一聴の価値があると思います。