マイルス・デイヴィス『Get Up With It』disc 1

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74年の作品。これは敷居が高い。

エレクトリック・マイルスは『アガルタ』と『パンゲア』で終焉を迎える訳ですが、その直前に存在する問題作としてこの2枚組は燦然と立っていて、なかなか手の出しにくい位置にありました。何といっても冒頭から30分越えですからどうなることかと思いましたが、聴いてみると意外と静かな曲で始まりました。とはいえ静かというよりドローンのような怪しげな雰囲気。イントロなのかな、と思っていたらそのまま終わってしまう強烈な地味さ加減。もう少し賑やかなのかと思っていました。

とはいえ2曲目の『Maiysha』以降は若干音数が増えて来ます。そこから先は想像通りの展開が若干出てきました。『Rated X』なんかはリズムにブレイクもあって少しびっくりしますね。ただ、賑やかでも振る舞いがクールなのは変わらない。静けさの中に狂気を秘める。

トランペットがほとんど聴こえてこないのも驚きです。マイルスは何を演奏しているんだろう。聴いた後に残るぼんやりとした違和感が聴き手を分けてしまうような個性の強いアルバムなんだな、という印象です。でももっと難解かと思った。