西村哲也『ORANGE』

f:id:tyunne:20181029211911j:plain

グランドファーザーズは2012年に再結成作をリリースしましたが、実は予兆が2010年頃からあって、この作品にも元メンバーが集結しています。青山陽一のブログを見ているとライブもやっていたようなので再結成は必然だった訳ですが、それにしても21年ぶりの新作には驚きました。

その再結成作で比較的現役時代に比べて安定感を醸し出していたのが西村哲也でした。最近はメトロファルス面影ラッキーホールなんかにも参加しているようでお忙しそうですが、グランドファーザーズの新作でも結構渋めのボーカルスタイルに進化していて、失礼ながら売ってしまった1st『ヘンリーの憂鬱』あたりとは打って変わった魅力を出している。このアルバムは8作目だそうですが、そんなに出してたの?という感じでほとんど知りませんでした。そもそもグランドファーザーズで再結成してその声を聴くまでは再度手を伸ばすことはなかったでしょう。

青山陽一、現カーネーションの大田譲、ムーンライダーズのサポートドラマーで後期グランドファーザーズにも参加した夏秋文尚、ミオ・フーの美尾洋乃青山陽一キリンジに客演している伊藤隆博とバックを固める陣営は鉄板もの。その上で楽曲の湿りがベテランならではの渋みを出していてなかなかよろしい。ジャケットが気違いじみているので手を出しにくいですが、内容はいいですね。ギターソロがむせび泣いているのも好印象です。