ムーンライダーズ『The Worst Visualizer』

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待望の再発!ムーンライダーズを初めて生で観たのは今から思えば『アニマル・インデックス』時のツアーだった訳ですが、これはその後の10周年記念ライブの模様を映像化したものです。当時行けなかったことを後悔した程いい内容でしたが、何といってもVHSだったので、なかなか今は観ることが出来ない映像でした。確か銀紙に包まれていたんじゃなかったかなあ。それがこの度目出たくDVD化されました。

何といってもインパクトがあったのは冒頭の『塀の上で』。当時まだはちみつぱいまでは手が伸びていなかったこともあって、この曲の強烈な「引き」の衝撃は目を見張るものがありました。後にも先にもこの頃のスピード感が実は丁度いいんじゃないかと思える程に渋い。何度も観たなあ。

ステージに入る前に観客の中に入っていって生演奏する様がオープニングに収録されていますが、これは『アニマル・インデックス』のコンサートでもやっていて、当時出てきたことに気がつかなくて悔しい思いをしました。確か2階席だったんですよね。これが活動休止まで続く訳ですから、憎い演出です。当時まだインターネットがなかった頃は鈴木慶一も「ファンの反応が分からなかった」とよく言っていましたので、こうして現場に降りていくことでリスナーの体温を確かめていたんじゃないかと思います。余りに突然のことで聴く側は面食らってしまう訳ですが、まさに伝説の人々が降臨するかのような非常に有り難い感覚で受け止めていたんじゃないかと思います。にこやかなメンバーとファンの間の一瞬の邂逅。これもライダーズならではでしたね。

あまり聴かなくて売ってしまったアートポートの曲が改めていい曲だと感じました。また探してみるかな。