こちらも買い逃し。昨年リリースされた冨田ラボの新作ですが、発売当時ラジオでかかっていたのを何曲か聴いていたのでほぼ想像通りでした。
冨田恵一という人は映画を作るようにアルバムを作る人です。今回もキャスティングが豪華。作詞陣には高橋幸宏、坂本慎太郎、堀込高樹、青山陽一といった渋い面々を配し、ボーカルには椎名林檎、原由子、横山剣、さかいゆうといった個性的な人を召還する。そして今回はその組み合わせにもチャレンジしていて、既視感がありながらも興味深い。『都会の夜、わたしの街』なんてよくできたいい曲でした。
スティーリー・ダンの手法やコーネリアスのブッキング等、前例はいくつかあるので左程驚く感もないところもあるんですが、それでも原由子や横山剣、青山陽一の起用は意外でしたし、いい効果を上げています。この路線はしばらく続けて欲しいですね。ある意味ワールドハピネスの参加者を高橋幸宏が決めていく過程にも似ていて、まずは脚本を書いて呼んだら次は作品化していく。それがライブかスタジオかの違いで、出来上がるものは予想外のものを多分に含む。これはやってる方は面白いでしょうし大変でしょう。
ここ最近の音には少し過剰な重さが課せられていて多少ファットな感じがあるんですが、それでも場としてユニットを提示するフォーマットは希少価値がある。楽曲のクオリティを落とさないことが何より大事なので、まずはパワーが持続することを願うばかりです。