スコラ 坂本龍一 音楽の学校 20世紀の音楽編第1回

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中心がないからカオス。なるほど、等価とはそういうことか。

今回から始まった最終シリーズ。20世紀の音楽編は非常に難しいです。最初一回観ただけでは何のことかよく分かりませんでした。しかし、シェーンベルクの無調音楽、十二音技法の背景を注意深く聞いていくと、そこには社会主義の超平等主義が垣間見えてくる。こいつは興味深いですね。

端的に12個ある音にランダムに順番をつけてそれを1フレーズにしてメロディを作る。そいつを反転させたり逆から弾いたりして繰り返していく。そこには一人一票、人間は皆同じ、という発想があるという話は大変驚きました。めちゃめちゃ数学的。これは技術の人が聞いたらワクワクしそうなロジックです。

おそらくこうした社会主義が根本にあってのいまのコンピューターの技術なんじゃないかと思える程刺激的で、それが音楽になると当然立ち上がってくるのはイメージですから、そこに何らかの感情がもたらされます。その背景にある技法はとてもシンプルで、これはカット&ペーストでどんどん制作物が成り立っていくことが可能になる訳です。

調性=キーがあればそれが中心音となりますから、最後にはそこに帰っていくことが出来る。ところがその中心となるキーがないので、すべて等価なので、結果的に中心がなくなって混沌が生まれるという流れ。これは二重の意味で凄いことです。一見ランダムに聴こえる音にも背景にロジックがあればある意味形として楽譜上は成立してしまう。この無限のループはプログラム可能な音楽に直結しますよね。何という発想だ。それを「世も末」という戦争と絡めた分析で語っていく様は刺激的でした。

しかし最後に来てハードコアな内容となりましたね。これは来週以降も楽しみです。