ディー・ライト『World Clique』

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テイ・トウワは驚く程変わっていない。

ディー・ライトの90年リリースの1st。仕事の関係で攻殻機動隊を観なければいけなかったのでDVDを探しにレンタル屋に行ったらレンタル落ちで300円で置いてあった代物。久々にレンタル落ちを手にしてしまいました。それにしても安いです。

で、安いからモノが悪いかというとそんなことはなく、非常に理知的な音が鳴っています。テイ・トウワはソロデビューがラウンジ志向で始まったのでこうしたクラブ寄りの音が後から始まった印象があったんですが、最初からこうだったんですね。不勉強でした。ここ最近の音とこの1stアルバムの質感が驚く程酷似していて、最初からプロフェッショナルな音を奏でています。理知的過ぎて少しまだ勢いが出ていない感じがするのは仕方ないところ。『Groove In The Heart』は当時全米4位まで上がったそうですが、とてもそうとは思えない複雑かつ地味目な音に聴こえます。それは今の耳で聴くからかもしれませんが・・。

ブーツィー・コリンズやア・トライブ・コールド・クエストのQティップ、メイシオ・パーカーまで参加したその『Groove In The Heart』は大物の使い方も含めて非常にコントロールされた作りになっている感がある。そこに熱がない。すべてクールに立付けている。そこがまたテイ・トウワの魅力でもあるんですが、最初から大物だったということでしょう。

YMO『磁性紀』や坂本龍一『Relache』の電話の音なんかがさりげなく埋め込まれていたりして聴いていて楽しい上、その使い方がとても洒落ています。ディー・ライトは初めてまともに聴きましたが、一見ピチカート・ファイヴのような成り立ちのメンバー構成でありながら耳に残るのはテイ・トウワの徹底した美意識、という感覚を抱きました。小西康陽のフェイク感とはまた違った構築感。しかも現在に至るまでそれが一貫して漂っていると感じさせるのが凄い。既に四半世紀も前の出来事であるのが嘘のような瑞々しさを持っています。