ザ・キンクス『Muswell Hillbillies (Deluxe Edition)』disc 2

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2枚目は未発表音源集ですが、一時期こうした音源がオリジナルの楽曲に加えられて作品を膨張させていく再発手法に辟易とした時期がありました。やはりオリジナルをじっくりと聴きたい。それが70分以上に水増しされて1枚のCDに入っていると過剰感が漂ってしまうんですね。今回の仕様ではオリジナルとボーナストラックにきっちりとディスクが分けられているので親切な仕様だと思います。何事も多ければいいってもんじゃない。

とはいえ未発表曲の『Lavender Lane』はいい曲でした。本作のカラーには若干そぐわない感じもしますが、前作からの延長線上と考えると合点がいくポップな仕上がり。キンクスは未発表曲にもいいものが多いですね。『Mountain Woman』や『Kentucky Moon』は既出音源のようですが、当時レイ・デイヴィスが企画中だったソロアルバムに収録予定だった楽曲とのこと。レイ・デイヴィスがソロを出すのは随分後のことですから、この時期に実現していたらさぞかしいい内容になっていたと思います。でもこの曲の捻くれ具合は尋常ではないので、意外とカルトな内容になっていたのかもしれません。『Nobody's Fool』はデモ音源でありながらかなりな完成度。静かなキンクスが味わえます。

他にはBBCでのスタジオライブバージョンやオルタネイトバージョン等が入って盛り沢山の13曲。キンクスが好きな人向けの内容ですので、初めて聴く人には若干重めの内容かもしれません。そもそもそういったリスナーは想定していないのかもしれませんが・・。それにしても大量の発掘音源が後からどんどん出てくるグループです。BBC関連でボックスまで作ってしまう訳ですので、活動の長さがうかがいしれます。

キンクスは聴いたらしばらく間を置いて、また思い出したように聴きたくなるようなアーティストなんですが、既に自分の中で古典になっているということなんだろうと理解しています。だとするときちんとした仕様で揃えておかないといけない。多少値が張る再発ですが、気長に押さえていきたいと思っています。