随分前にレンタルで借りて聴いていたハース・マルティネスの75年1st。先日友人との待ち合わせの合間に「何か1枚」ということで速攻で選んだ作品です。久々に聴きましたが、リマスターもされていて内容は充実。捨て曲なしのいいアルバムだと思います。
プロデュースはザ・バンドのロビー・ロバートソン。誰もがその人脈で手を伸ばしたと思いますが、期待に違わぬ内容で隠れた名盤の名を欲しいままにしていたのも頷けます。今回聴いてみてそのグルーヴィーさに圧倒されましたが、グルーヴィーな曲と静かな曲が比較的交互に配置されていたことに気付きました。解説によればリズムセクションは2組用意されていたそうで、曲調によって使い分けていたんですね。それがラス・カンケルだったりチャック・レイニーだったりするんですから豪華極まりない。
岡田徹がダミ声で歌う様子を鈴木慶一がハース・マルティネスに例えたことがありましたが、曲によって優しい歌声も使いこなす器用な面も兼ね備えています。謎の多い人のようですが、最初からこのクオリティというのはなかなかないパターンだと思います。
ここ最近帰宅中にザ・バンドとライ・クーダーを交互に聴いていたんですが、こうしたアーシーなアーティストを再発見しようと考えていたところに手にした作品。但しこの作品の場合はカントリー・テイストだけでなくグルーヴも味わえるという点で突出した内容だと思います。尖り過ぎてなくて、かつセンスのいい作品。久々に聴いても耳にスッと入ってきました。