ライ・クーダー『The Slide Area』

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暑い日が続きますが、頭をボーッとさせながら聴いている82年リリースの作品。この後に続く『Get Rhythm』と地続きな荒々しい音のアルバムです。

タイトルにもあるようにスライド・ギターが炸裂していますが、楽曲としては成熟というよりも突進している感じで、一体どこに向かおうとしていたのか、と不思議になる程の勢いです。この時期はソウル路線とも言われていますが、聴いた感触はやはりロック然としていますね。リトル・フィートにも似た南部ロック路線。かといってそれ程捻くれている訳でもなく、ストレートに聴かせます。

ただいずれにせよ演奏の密度が凄い。一部リズムが走る局面も見受けられますが、おかまいなしの突進力で最後まで突っ走ります。ライ・クーダーといえば渋い静かな雰囲気の印象が強いですが、ここでの演奏は非常に荒々しくて、かつ奥行きがあるという複雑さ。単に走るだけではなくて演奏の細部を聴かせる作品となっています。この元気さは何なんでしょうか。

初期、中期の渋い路線も大好きですが、この辺りの勢いのある演奏も、もう少し深堀したくなる魅力を備えているように思います。そろそろ細野晴臣鈴木博文も絶賛した『My Name Is Buddy』を聴いてみようかな。