ティアーズ・フォー・フィアーズ『Everybody Loves A Happy Ending』

f:id:tyunne:20181102184202j:plain

随分前のDUのチラシでビートルズのフォロワーとしてTFFが紹介されていて、一瞬の違和感を持って見ていたんですが、その後きちんと『Seeds of Love』を聴いて「なるほど、そういうことか」と納得してこの実質的な再結成盤を聴いてみようと思いました。しかし時既に遅し。とっくに廃盤になっていたんですね。そんな04年リリースの今のところ最新作になるのかな。随分と探しましたが、何とDUのヘヴィメタル館にありました。「何故ここに?」と思いましたが、恐らくはジャケットのせいではないかと・・。

内容の方はというと、『Songs From The Big Chair』や『Seeds of Love』のような多額の制作費をかけた作品と異なり、もう少し吹っ切れた音をしています。きっと制作費もなかったんでしょうが、その分根詰めずにラフに仕上がっていて自然体な感じがします。元々はソングライターとして優れていますので、売上のプレッシャーもなくサラッと作った方がよい作品が出来たんじゃないでしょうか。前述の2作は若干大仰なところもありましたので、そういった意味ではバランスが良い音とも言えます。

ただきっと売れなかったんでしょうね。日本盤も出ていないようですし、プロモーションされた気配もなければ再発の話もない。ただ、ビートルズフォロワーとして聴いてみると、若干メロディアスな面がポールを彷彿とさせる程度で、左程の相似点は感じられませんでした。それでも内容はいい。

『Secret World』あたりは往年の構築型楽曲風味を感じさせて流石と思わせます。こうしたコンパクトな活動で長く二人で続けて行けたらよかったのに、と思いますが、大ヒット作を作ってしまうと周囲のビジネスの思惑に振り回され、また自分自身のプライドやプレッシャーに捕われてコンスタントな活動ができなくなってしまうんでしょう。人間というのはそんなもんです。ただ、最後にこうした良作を残してくれているのはありがたく受け止めて行きたいと思います。もう少し聴き込んでみよう。