ジョージ・ハリスン『電子音楽の世界』

f:id:tyunne:20181102192149j:plain

想像通り、拷問のような42分間でした。

69年にApple実験音楽レーベルZappleからリリースされた本作は、ジョージ・ハリスンが当時まだ新しかったシンセサイザーと遊興に及んだ作品です。まだクラフトワークYMOもいなかった60年代末に、こうした実験的な音が世に出たのはビートルズの成功がなせる技。後の電子音楽の攻勢を先取りする、と言えば聞こえがいいですが、どう考えても習作の域を出ていません。せめてリズムがあればまだ音楽として成立するんだけどなあ。

現代音楽にもまったく疎い身からすると、こうした音の洪水は興味の対象から外れてしまうんですが、音の質感、というより椅子の軋むような生活音が若干聴き取れる点は、最初は多少興味を惹かれそうになりました。でも2曲目のムーグとの格闘等はやはり聴いていて気が狂いそうになるので、これは体にも良くない。ということで二度とターンテーブルに乗らない作品になりそうです。意味性とかあんまり関係ないもんね。

インド音楽の次は電子音楽。このままキャリアが終わっていたら何という変人なんだろうと世の中に思われていたかもしれないジョージ・ハリスンですが、次作でいよいよ爆発します。