ジョージ・ハリスン『ジョージ・ハリスン帝国』

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ラスト。75年リリース。これは思った以上に良かった。

『Living In The Material World』でジョージは終わったのかと思っていましたが、案外と本作はいい意味でAOR風味が効いていていい作品でした。デヴィッド・フォスターが参加しているというのもひとつの原因かもしれませんが、結構そのピアノが良かったりします。人柄のせいもあるでしょうが、歴代色んな人が参加しているので、作品によって変化があるところが楽しいですね。ボンゾ・ドッグ・バンドのレッグ・ラリー・スミスなんて人まで登場します。

BOX付属のDVDも観たんですが、唯一印象に残った言葉は『All Things Must Pass』再発の頃のインタビューで「17歳と57歳では体が変わるだけで精神は変わらない」と語っているくだりです。身体的に老いてくることで精神も連動していくものだと思っていたんですが、必ずしもそうではないのかもしれない。ジョージ・ハリスンは残念ながら60代を経験できなかった人なので、細野晴臣なんかの60代での発言とはまた違って聞くべきなのかもしれませんが、50代のメンタリティとしては参考になります。

作品に戻ると、特にこれといったキラーチューンはないんですが、全体的にとても味わいがある。ダークホースイヤーズをどうしようか、未だに迷っていますが、案外悪くなさそうだな、と認識を新たにしたのでした。

それにしても捉えどころのない魅力を持った人ですね。