大貫妙子『One Fine Day』

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05年リリースの本作は随分前にラジオで耳にしてずっと気になっていた作品でした。どの曲だったか覚えていませんが、恐らく前半のどれかだと思います。

感覚的には晩年のローラ・ニーロのような落ち着いた成熟味を感じます。楽器の鳴りが非常にいい。アレンジがとても素敵なんですね。10年近く前の作品ですが、既にこの時点で充分に達観していて、ボーカルも味がある。この作品を聴いていると、日常をひとつひとつ積み重ねて普通に生きていくことがいかに大切な貴重なことなのかが分かります。

囁きかけるようなボーカルで語られることはごく普通のことですが、何故か日本人に生まれて良かった、と思いました。これは変わりゆく季節を味わえる気候であったり、欧米やラテンの音楽文化がごく自然体で溶け込んでいる様であったり、それを言葉と共に味わえる幸せであったり、となかなかうまく表現できませんが、ある地点まで辿り着いた人の余裕を携えた語り口が聴く側をとても穏やかに包み込んでくれているのだと思います。

とてもいい作品。長く聴けそうです。