白井良明の新作はインスト中心と聞いていたので、少し構えて聴きました。前作が様々なゲストを迎えた傑作だったので、果たして次はどう来るか。前作リリース時点で本人のコメントにもありましたが、前作にもあったインスト曲に次作へのヒントがあるとのことだったので、この展開はある意味予想通り。しかし聴いてみると予想以上に饒舌なアルバムでした。
ギターで歌っている感じがします。タイトル曲にも顕著ですし、ビートルズやかしぶち哲郎のカバー曲でも、非常にギターが語っている。ボーカル以上に情感がこもっている印象を受けました。本当にギターが好きで、かつとてつもなくうまいんだろうなあと思います。
そんな中でも2曲程ボーカルの入った曲がありますが、インストの中に納まるとそのポップスとしての魅力が更に増すように思います。「one more cup of tea」「愛の仕事”musician"」どちらも単体でも素敵な曲ですが、流れに納まると更に輝きが増す。やっぱり白井良明は極上のポップマスターですね。前作で既にやったことかもしれませんが、やはりボーカル曲でもう一作作って欲しいなあ。白井良明のソングライティングも年々魅力が増していると思います。歳をとって素直なメロディが前面に出てきてどんどん良くなっている。
硬質なアルバムかと思いきや、ひたすら繊細でかつ極上のポップスも含まれている。味のある良いアルバムだと思います。