ジェイソン・フォークナー『I'm OK... You're OK』

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8年インターバルを置いた3rd。その間、スランプに陥ったり旧友ロジャー・マニングとユニットを結成してエレクトロ・ポップをやったりと色々あったようですが、作品を発売してくれるレコード会社が見つからなかった事情もあったようです。

そうした中、くるりの発足したレーベルからの発売という形をとってリリースされたのが本作。くるりとジェイソン・フォークナーとの対談もWeb上にはアップされていますが、何らかの形で手を差し伸べたのか、真相は定かではありません。ただ、くるりのメンバーはジェイソンの1stをいたく気に入っていたということで、単純にファンとしてラブコールを贈っていたようですね。それ位1stはインパクトがあったということです。

本作はどうかというと、比較的地味な印象を持ちました。根本は変わっていませんが、どちらかというと内省的なイメージが残ります。中盤の「Komplicated Man」やボーナストラックの「I Don't Mind」なんかにはこの人ならではの閃きを感じるんですが、全般的には勢いは落ちてきている。

とはいえ「Run Away」なんかを聴いていても感じるのは、非常にツボを押さえているということ。ここで展開はこう来るかな、という箇所で予想通りの展開を見せる。この「分かってる」感じが嬉しいんですよね。それが1stではもっと派手だった。その差かなと思います。

長い間かけて書き溜めていた曲を順次たった一人で演奏して録音してミックスしている、というとても孤独な作業。その出口のなさが音にも現れてしまっているのではないでしょうか。とても勿体ない才能だな、と思います。次作でまた復活ののろしを上げているようですので、この後どうなったか、楽しみに聴きたいと思います。