キンクス『Sleepwalker』

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XTCのアンディ・パートリッジの最近の呟きで、ファンからの「聴くべきアーティストは?」との質問に「ジュディ・シル、ELO、キンクス」という回答がありました。まずはこの3アーティストを聴き込め、とのお達し。最近復活したブラーのメンバーにもキンクスを推薦していたくらいですから、当たり前といえばそれまでですが、そんなキンクスアリスタ移籍第1弾、77年リリースの作品です。

アリスタ期は全米進出の売れ筋路線というイメージが強いので余り手を出さずにここまで来てしまいましたが、結構いいんですよね。この前の作品が『Schoolboys in Disgrace』ですので、左程悪くはない。感触的にも地続きでいいメロディが聴こえてきます。うん、悪くない悪くない。

解説を読んで認識を新たにしましたが、時代的にはパンク勃興の時期で、その流れへのアンチテーゼとして全米に進出した、といった内容の記載がありましたが、なるほど「You Really Got Me」はパンクの源流にあたる訳だし、自分達がその中で古株として扱われないためにも英国から一時逃避したという経緯はレイ・デイヴィスらしいシニカルさを感じさせるエピソードです。

このアルバムは全米で結構売れたみたいですが、その後の快進撃の背景にはそうした時代認識があるし、かつテイストとしても初期にあったロック基調が復活して来た流れもあるように思いました。この直前までロックオペラでしたので、方向性がシンプルになったのは実は正常な流れだったんだなあ、と痛感します。

さて、高橋幸宏の呟きを踏まえて錦織の試合でも観るかな。