大貫妙子『コパン』

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30年前の85年リリース。デジタルノスタルジア

およそ半数を坂本龍一が編曲していますが、時期的に『音楽図鑑』後半や『未来派野郎』の頃のフェアライトの音が鳴っていて時代を感じさせると共に、どこか懐かしく、しかし今聴いても色褪せない魅力を称えた作品となっています。「野辺」の上品なことといったら。

当時、鈴木さえ子には手が伸びたのに大貫妙子に何故に手が伸びなかったか。その理由はポップスとしての完成度に気が引けたからだと思います。音が最新型であっても楽曲から漂う完成度は子供の入れる領域ではなかった。今となってはすっかり安心して聴けるようになりました。逆に音の攻め方が耳に邪魔となってくるので「タンタンの冒険」等は少し引いてしまいます。

OUT OF AFRICA」の何とも言えない懐かしい感覚はデジタルで雄大な風景を表現した習作だと思いますし、「ベジタブル」の普遍性はその後もずっと輝いている。本作で全盛期の大貫妙子は一度終了し、次のフェーズへ移っていったんだと思います。