ウィリアム・ブーツィー・コリンズ『灼熱のP-ファンカー』

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82年リリースの6作目。『Ultra Wave』と『What's Booty Doin'』の間にあたります。ブーツィーも持ってるようで持ってなかったので、今回聴き返してみてミッシング・リンクを埋めることが出来ました。

この作品は人力ファンクの最後にあたるもので、ここから6年のインターバルを置いてエレクトリック・ファンク爆発に至る訳ですが、とにかくベースがブリブリいっていて楽しい。ただ、Pファンクは全体的にそうですが非常に捉えどころがなくて、何となく曲単位というより流れで聴く感じです。じっくり聴き込むというよりBGMっぽいんですね。ダンス・ミュージックだからそれでいいんでしょう。

ブーツィーはその後も飛び飛びではあれコンスタントに作品を発表していて、網羅するには結構パワーがかかりそうですが、網羅したところで全体像はきっと掴めない。Pファンクはそんなものだろうと思います。アメーバ的な活動が真骨頂とでもいいましょうか。

プレーヤーとしてのブーツィー・コリンズは極上ですが、ボーカリストとしては独特の唸りを上げるスタイルがイメージとして定着していて、そこにあのビジュアルが絡むのでインパクトは絶大です。その割には音楽が多少薄っぺらい。この背景のなさがいいんですね。背景がないというと怒られそうですが、決して技術に裏打ちされてない訳ではなくて、あくまで音の質感として軽く響いてくる。ジョージ・クリントンのようにドロッとこない軽やかさがあって、テイストが不思議なんですね。従ってインパクトが多少薄まるのが玉に傷です。圧倒的グルーヴで攻めてくるJBと異なり、非常に乾いた感じでサラッとかわされる。聴き込むことを拒否されるような、ある意味明るい雰囲気を携えていると思います。楽しければいい。そんな肩の力の抜けた感じが魅力的です。