チャールス・ミンガス『Mingus At Carnegie Hall』

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続けてミンガスです。これは74年のライブ。

ミンガスというと自分にとっての接点はジョニ・ミッチェルくらいだったんですが、聴いてみると50年代のマイルスのようでとても気持ちよく聴けました。ハード・バップというのは要するにコード進行だけ決めておいて、後は自由に演奏するという形式のようで、その和声進行の極地がコルトレーンでいう「Giant Steps」あたりにあると。本作に収録されている「Perdido」と「Giant Steps」の楽譜を先輩から渡されたんですが、この後にマイルスやコルトレーンはモードという手法に変化していくようです、自分の好きなマイルスは電化マイルスとこのハード・バップ期のものだったんだと再認識しました。

本作にはゲストに複数の管楽器を同時に演奏するローランド・カークが招聘されていて、強烈な個性を発揮しています。以前ポッパーズMTVで映像を観たことがありますが、その異様な風貌と放たれる音にちょっとした衝撃を受けたことを思い出しました。こうした様々なプレーヤーがミンガスの紡ぎ出すフォーマットの元で自由奔放にソロを廻していっている。スピード感もあってとても快適です。

先輩の話では、タモリがジャズはコルトレーンが難しくしてしまった、と発言しているそうですが、確かにコルトレーンには探求のイメージがあります。しかしそれまでのジャズというのはもっと楽しいものだったし、もっと言うと以前坂本龍一の音楽の学校でやっていたジャズの講義では、ニューオーリンズのダンスミュージックから発祥したビッグバンド形式の音楽から発展して来たものであったことを考えると、そもそもが眉間にしわを寄せて聴くような類いの音楽ではなかったのではないかと思われます。ジャズというとスノッブなイメージがつきまといますが、実はそうではなくて楽しい音楽なんだと。そう考えると、もっと取っつきやすいものとして聴き進めて行くこともできそうです。

更に、シャンルで音楽を分類していくことの無意味さについても話をしました。音楽は皆同じ。表現の仕方が違うだけ。当たり前のようですが、意外と忘れがちなことだと思います。