キース・ジャレット『The Koln Concert』

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これは珍しい音楽。

全編即興のピアノソロコンサートを収めた75年の作品です。キース・ジャレットは名前だけは知っていましたが、こんな実験的な試みを行っている人だったとは知りませんでした。こちらも会社の先輩からお借りしたものですが、とても美しくて刺激的な作品です。

時折呻き声が入るところもスリリングですが、何より筋書きが一切ない演奏で、旋律やリズム、コードが自然に変化していく様子を聴くにつけ、何とも言えない感慨に浸ることが出来ます。昨今の坂本龍一も演奏曲目を決めずにピアノ1台でコンサートを開催していますが、そうはいっても曲の構成自体は練り込んでいる。譜面もあるし。しかしここにはそういったものは一切なくて、発想のままに演奏が繰り広げられていて、ただただそこに聴衆は身を委ねるのみ。そんなコンサートは余り聞いたことがありません。

キース・ジャレット自身をあまり知らずに初めて接する体験ですが、これは強烈なインパクトを残してくれました。一体何者なのか。何が表現の原動力になっているのか。追従者はその後現れたのか。予備知識は一切なく聴いていますが、美しいことだけは確かです。後日先輩から語りを頂こうと思います。