ムーンライダーズ『Ciao! Mr.Kashibuchi MOONRIDERS LIVE at NIHON SEINENKAN 2014.12.17』

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もうあれから半年経つのか・・。

かしぶち哲郎一周忌に合わせた追悼ライブのパッケージ化。その後WOWOWで放送されているのでてっきりDVD化されるのかと思っていましたが、意表を突いてCDでの発売となりました。音の方がリピート性が高いので歓迎すべきことではありますが、最近のトッド・ラングレン高橋幸宏のようにCDとDVDのパッケージ商品でもよかったのではないかと思います。自分達のレコード会社からの発売なので制作に支障があるのかもしれませんが、少し残念。とはいえメリットもあります。

中盤に各メンバーの紹介が丸々収録されていますが、武川雅寛以外はほぼ自分の宣伝で、これってレコード会社違うんじゃないの?とつい考えてしまいます。それをそのまま収録できるのは発売元がMOONRIDERS Recordだからでしょう。コンサート会場で聴いた時は、武川さんの心のこもったコメントと比較して自らの宣伝をするとは不謹慎な、とも思いましたが、このコンサートは一夜限りの復活祭でもあったので、現役感をアピールする場としても機能するし、また活動が続いていくという可能性を感じさせる近況報告でもある。更に言えば、全体の雰囲気を湿っぽくしないという一種の気遣いでもあったのかな、と考えると納得もいきます。まあ、あれこれ考えずに音楽の方を聴けばいいんですよね。何より一番悲しいのはメンバー達自身であって、我々はそれを観せて頂く立場でしかない。そもそも「スカーレットの誓い」での鈴木慶一の天国への呼びかけや「6つの来し方行く末」での声を詰まらせる鈴木博文、「Lily」演奏後にかしぶち哲郎の息子さんの肩に手をかける岡田徹など、メンバーの愛は確実に亡くなった月のひとかけらに向けられていました。

先日武川雅寛が病に倒れたのは非常にショックで、また同じことが起こらねば良いな、と心配してしまいますが、とりあえず今は元気なメンバーの姿を思い出しながら身を浴するとしましょう。オープニングの照明と共にパッと明るく現れた姿に感動したことや、息子さんを交えた愛情溢れる演奏など、見所が多くて爽やかな気分になるコンサートでした。