アラン・トゥーサン『Life , Love And Faith』

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リトル・フィートがカバーした「On Your Way Down」、これに尽きると思います。強烈にカッコいい。地をはうようなゆったりとしたグルーヴ。リトル・フィートの方にあった華やかなコーラスもなく、原石としての魅力が全開している渋さ満点のマスターピースでした。

 

アラン・トゥーサンの72年リリースの3rdが次作の『サザン・ナイツ』と共に名盤探検隊で再発されました。最近はJB関連も含めて格安の再発が多くて、値段的に中古盤と変わらない、というよりむしろ新品の方が安い、という現象が起きていて、いかにCDの売上が苦しいかがひしひしと伝わってきますが、聴く側にとってはこんなに有り難いことはありません。

アラン・トゥーサンは抱いていたイメージと違って音の感触が泥臭くなくて整っているので、ゴリゴリのニューオーリンズファンクを期待すると肩透かしを喰らってしまうんですが、当時の周囲に与えた影響は絶大なもので、先のリトル・フィートザ・バンドまでもがこぞって門を叩いた人物でもあります。ドクター・ジョンミーターズのような音楽をつい想像してしまうんですが、もう少し構築系の方なんですね。そのエッセンスは背景に隠れている。表面上はあくまでポップスにこだわった作品を残している、という印象です。

そんな中でもやはり冒頭に挙げた曲の密度は凄い。これは一発でノックアウトでした。