キース・ジャレット『Somewhere』

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続いてはキース・ジャレットです。しばらく前に貸してもらった作品は単独のライブ作品でしたが、こちらはゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットとのトリオ作品。ただ、質感は余り変わらない印象を受けました。

キース・ジャレットはジャズというよりもクラッシックや現代音楽のような風情を感じます。非常に上品で荘厳なんですね。とても格調が高く聴こえる。これは自分がジャズに求めるものとは少し違うような気がしています。坂本龍一フランク・ザッパも現代音楽の要素も取り入れた荘厳な雰囲気を醸し出す瞬間もありますが、根っこのところでポップスが息づいているように思います。どこかに人懐っこさがある。それがキース・ジャレットの場合は少し綺麗過ぎるきらいがあるんですね。美しいんですが楽しいかというとそうではない。官能的かというとそうではない。

ジャック・デジョネットはエレクトリック・マイルスの時代の音を聴くととにかく叩きまくっていて、暴走が止まらないといったイメージがありましたが、ここではとても落ち着いた音を出している。手数は多いんですがやはり上品に聴こえます。録音が2009年ですので、もう皆さん大分お歳をとられている訳ですから落ち着いてあたり前なんですが、結構意外な感じがしました。それ位当時の印象が強烈だったのかもしれません。

時折聴こえる呻き声のようなものがご本人の悦楽を感じさせますが、拍手が入るまでライブとは思えなかった程のクオリティの高い演奏でした。